こちらは、色々考えさせられつつも破滅的に面白かった本。
数年前に、「ウナギの生態解明!」みたいな記事が出ましたよね。その「解明」に尽力した方の著作です。
アフリカにしかいない希少なウナギを捕まえに何カ月も放浪する話。
全く状況は違うのですが、先日アメリカにて「取材活動」な一週間を過ごしてきたばかりなので、こういう達成せねばならない目標のある旅の大変さが身に沁みています。ましてや、「ウナギのうわさを追いかけて発展途上国ノープラン旅」の無謀さですとか度胸ですとかアクシデントですとか、もう想像を絶する苦難があったでしょう。それをユーモアを交えて語ることのできる著者のタフさにはもう、帽子を脱いで放り投げて万歳三唱しても良いくらいだと思います。
そもそも一番最初のページの内容が「リンチシーン」ですから…。
けれども、この本はただのアフリカ冒険譚ではなく、著者の「なぜウナギを研究するのか」という疑問にも答えるもののような気がしています。読みながら一度は頭に浮かぶ、「ウナギの生態」なんて、そんなに重要なのか?という問いかけは、著者も考えたことのようです。
「日本の食とも関わりがあり文化的にも大事」「何千キロも回遊する魚は希少であるから」などの理由もあるでしょう。しかし著者は、ウナギについての教授の講演会を通して「人が人である限り、知的好奇心は心の栄養になっている」と考えるようになったようです。この本もまた、自分の研究を様々な人に還元しようという、著者の試みなのでしょう。
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