10.12.12

きんせい

読み終わりました!! 今回ちょっとたてこんでいて、本を直接買いには行かず密林さんで注文したら今日届きました。遅いです。

大した感想じゃありませんが、ネタバレしますのでご注意を。



それはそうと、とうとう最終巻!!いや、外伝があるから「最終巻」とは呼べないのかも。 とにかく、錆丸の流離の旅は、幕を閉じました。錆丸というキャラクターは、元気一杯でいつどこへ飛び出していくか分からない気がして、これも何だか「一応」という言葉を付けたくはなるのですが。

読み終わって何が衝撃って、夏草さんの誤解があえてのそのままになっていることでしょうか。

砂鉄とユースタスの最期の日々を正直に暮らす感じの一件もまた、そうきたかという感じです。あと「たぶん」の台詞も気になります。ユースタスに何をさせたんだ砂鉄。気になると言えば隣の個室って、音漏れませんか音。そこは金星マジックですか。


命を挺して「弟」を助けた三月やら、無事一児の母となったラシィとその夫やら、そしてもちろん、恋を叶えた錆丸やらで読んでる最中は感慨深かったはずなのですが、読み終えて感想書こうと思った途端に浮かんでくるのが、前述したようなところどころの小ネタ系ばかりです。芸術作品になったリオンとかも。

それにしても、物理的な意味でも精神的な意味でも、これほど短期間にここまで成長した主人公など、かつてあったでしょうか。出会ったときは高校生だったのに、あっという間に大人になってお嫁さんもらって娘までできてしまいました。可愛くてあどけなくて抜け目ない子に育つんだろうなあ。
級友に子どもができてたのをfbで発見したような気持ちです。そんな歳になったんだなあ、という感慨も含む。

あらゆる面においてユースタスに負けてしまったとも言える彗星には心が痛みますが、ユースタスが自分をとりもどせたのは嬉しく思います。ナンパにあっても冷静に流せるユースタスも成長した!彼女は、登場人物の中でも特に人間の残念な部分の被害者でありつづけていたと思うので、それらを受け入れつつも幸せになれそうで良かったです。

衝撃だったのがアルベルト殿下。殿下…!
私が出会った初のファンタジー小説中の言語学者として、性格が悪かろうが眼鏡だろうが、死にそうで死なない、でも死にそうな(すいません)彼を心の中で応援していたのですが、あそこで登頂の末にあんな問いを投げかけたがために知りすぎて樹木になってしまうとは。うううん、底なしの好奇心が仇となりそうな気はしてたんですがやっぱりそうなったか、と。

世界語に関して、ヴィットリアのアプローチ、斜め上を行く感じで良いですね。ハハリ・ジュニアと自分の年齢とサヴォイア家の力を味方にして「世界語が人工語であり素晴らしい発明だったことを発見」して、兄とは違った方向から純国普を攻めていくというその戦法、素敵です。地域方言が認知されつつあるというのも、実世界でのシングリッシュの話などと重なってきて、いいなあと。
ところで彼女がエジプトのオークションで競り落とそうとしてる三言語の刻まれた碑文石ってロゼッタ・ストーンですよね。この世界のナポレオンは何やってたんだ、このままいくと大英博物館から目玉のひとつが消滅するよ!



全ての謎が、ものすごくはっきりとした形で解けた、という終わりではないけれど、これくらい漠然としている方が、私は好きかも知れません。全ての問いに解が存在する必要があるのは、推理小説だけじゃないかなと。それくらい物語に余裕があった方が、世界が広くなるような。もし作者自身が説明し足りないな、というとこがあればきっと、外伝で補われるでしょうし、読む側としては、安心して待っていようと思います。

また後日、何か書き足すかもしれませんが、今日はここまで。