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13.1.11

ハウル続き

ハウル原作で、ハウルに向けた荒地の魔女の呪い、という形で出てくる詩について。

SONG (Go and catch a falling star)
by John Donne
ちなみにこの人、「金星特急」に出てきたジョン・ダン氏のモデルだそうです(いい加減にした方がいいと思うけど著者様がおっしゃっていたので事実です。)

GO and catch a falling star,
Get with child a mandrake root,
Tell me where all past years are,
Or who cleft the devil's foot,
Teach me to hear mermaids singing,
Or to keep off envy's stinging,
And find
What wind
Serves to advance an honest mind.

If thou be'st born to strange sights,
Things invisible to see,
Ride ten thousand days and nights,
Till age snow white hairs on thee,
Thou, when thou return'st, wilt tell me,
All strange wonders that befell thee,
And swear,
No where
Lives a woman true and fair.

If thou find'st one, let me know,
Such a pilgrimage were sweet;
Yet do not, I would not go,
Though at next door we might meet,
Though she were true, when you met her,
And last, till you write your letter,
Yet she
Will be
False, ere I come, to two, or three.

流れ星を捕まえろ、
子どもと共にマンドレークの根を取ってこい
過去の年月がどこにあるか、
或いは悪魔の蹄を割いたのがが誰かを教えてくれ
人魚の歌を聞く方法を、
或いは嫉妬の棘を退ける方法を教えてくれ
そして見つけてくれ、
どんな風が、
正直な心を進ませることができるのかを。

もしあなたが奇妙なものを生まれつき見ることができるのならば、
見えないものを見ることができるのなら、
一万の昼と一万の夜を乗り越えよ、
老いが雪のような白髪を積もらせるまで
そなたは、再び戻るときには、私に語るがいい
今まで見たこともないような奇跡の数々を
そして誓うのだ、
どこにも、
誠実で美しい女などいないと。

もし見つけたなら、知らせて欲しい
そのような巡礼は甘美なものだ。
だが、そうはしないでくれ、私が行くことはないだろう、
隣で我々(多分、女と自分)が会うかも知れないにせよ、
あなたが会ったときに、彼女が誠実だったにせよ、
そして最後に、あなたが手紙を書いた時までそうだったとしても、
しかし、彼女は
不実で
あるだろう、私が来る前に、2人か、3人に。
※直しました。ですがまだ誤りがあるでしょう。解釈によって訳が分かれるところもあります。大体こんな感じ、ということです。


高校での記憶を手繰って手繰って、普通に解釈するならば…
第一スタンザ:不可能なことを列挙し、これが可能であれば女性というものもまた誠実であるだろうと主張
第二スタンザ:どんなに長く旅をし、様々な奇跡を見たとしても、誠実で美しい女性はどこにもいない、と主張(しかし前半2行がこれではいまいち説明できないorz)
第三スタンザ:もし見つけたなら、作者も彼女に会いに行きたいと言いかけるが、やはりやめておこうと考える。なぜなら、結局彼女が浮気しないことなどあり得ないから

という感じでしょう。もちろん、意味深な詩なので異論は沢山あります。

で、ハウルに出てくるのは、第二スタンザまで。呪いも、どうやら第二スタンザまでのようです。
こちらの解釈は、結構ストレート。
第一スタンザの不可能な事柄のリストは、ハウルの世界ではまああり得ること。これらの条件は、ハウルへむけられた呪いが発動するためのステップとなっています。
Thou, when thou return'stは、呪いが発動すればハウルが荒地の魔女に捕らえられることを意味します。最後の三行は、分かりにくいのですが、ハウルが一人の女性を愛し続けることができないことを意味しているのかもしれません。

ちなみにこの呪いのおかげで、ハウルの歳がわかります。生まれてから一万日=27歳ですね!

以上!

+
そうそう、この詩、結局女性の性質について語ったものだという解釈が一般的みたいなのですが、詩全体にちりばめられたファンタジー要素のある言い回しのおかげで、別のファンジー作品「Stardust」Neil Gaiman著にも使われています。ちなみに映画化もされていて、意外と面白いです。敢えてファンタジーの王道を突っ走ってる作品だと思います。

20.12.09

うっ

 冬休み到来!と同時にバイト終了(TT)。予定より早く終わってしまいました。そして同時にレポート書き大会に突入。
 特に意味もなく、ブログデザインを変えてみました。

 1984ネタ。
 作中に何度も出てくる、マザーグースの「オレンジとレモン」が頭をぐるぐるしています。というわけで、何となく色々考えてみようかと思います。
 この歌、むかーし向こうの小学校で遊んだ記憶があります。さりげなく終わりが怖いな、と当時からぼんやり思っていた歌です。

Oranges and lemons,
Say the bells of St. Clement's
オレンジとレモン、と聖クレメントの鐘が言う、

You owe me five farthings,
Say the bells of St. Martin's
お前は私に5ファージング借りがある、と聖マーティンの鐘は言う。

When will you pay me?
Say the bells of Old Bailey.
いつ返してくれるんだ?と、古いベイリーの鐘が言う。

When I grow rich,
Say the bells of Shoreditch.
私が金持ちになったとき、とショーディッチの鐘は言う。

When will that be?
Say the bells of Stepney
それはいつになるんだ?と、ステフニーの鐘が言う。

I do not know,
Says the great bell of Bow
私は知らない、とボウの大きな鐘が言う。

Here comes a candle to light you to bed
And here comes a chopper to chop off your head!
ここにあなたを寝床へ導くろうそくが来た、
そしてここにあなたの頭を切りに、首切り人が来た!

 遊びとしては、二人がつないだ両手を挙げてアーチを作り、歌を歌っている間に他の人がそれをくぐって、歌の最後に両手を下げたときに捕まった人が負け、というものです。要するに、びりっけつが首切られる、と。かごめかごめと非常に近いものを感じます。ネットでは、「ボウの鐘というのは処刑を知らせる鐘であり、当時は斬首が一般的であった」という説明が流れていますが、本当かどうかは分かりません。
 
 1984に載っているバージョンを読んで何となく違和感を感じていたんですが、ネットで歌詞を調べて分かりました。上に載せたバージョンでは、そして私の覚えてるバージョンでは、five farthingsだったのに、1984では何故か、threeになっているんです。ネットに流れてるのはfive版しかないようだけれど、これはオーウェルが意図的に変えたんだろうか。
 作品中に繰り返し出てくるだけに、色々勘繰りたくなります。「3」と言えばビッグ・ブラザーのスローガンも三つだな、とか。今のところ(まだ半分ちょいです)、はっきりしたことは分からないですけれど…。

2.12.09

ブロンテ!

 今日は冬にぴったりな、芯から寒くなるような詩を(え)。いつもの通り、勝手な訳を付けました。

Fall, Leaves, Fall
by Emily Bronte

Fall, leaves, fall; die, flowers, away;
散れ、葉たちよ、散れ。死に絶えろ、花たちよ、去れ。
Lengthen night and shorten day;
夜よ長くなれ、日よ短くなれ。
Every leaf speaks bliss to me
どの葉も私に至福を語る
Fluttering from the autumn tree.
秋の木々から舞い落ちながら。

I shall smile when wreaths of snow
私は微笑むだろう、雪の冠が
Blossom where the rose should grow;
薔薇が生えていたところで花開くとき。
I shall sing when night's decay
私は歌うだろう、夜が終わり、
Ushers in a drearier day.
より陰気な一日を呼び込むときに。

この作者は、かの有名なブロンテ姉妹の一人、「嵐が丘」を書いた人です。
 何とも迫力のある詩だと思いませんか??
 これは、「好き!」っていう詩ではないけれど、何だか心に突き刺さって忘れられないのです。

1.12.09

Shakespeare

 今日はシェイクスピアについて。彼の作品は古典的な言葉(古典だからね!)が羅列されていて分かりにくいですが、それだけに解説本も多く出版されていて便利です。

Shakespeare's Sonnet 55

Not marble, nor the gilded monuments
Of princes, shall outlive this powerful rhyme;
大理石も、金箔で覆われた王子の彫像も、この力に満ちた詩より長命であることはない。
But you shall shine more bright in these contents
だがあなたはこれらの詩の中でより明るく輝くだろう、
Than unswept stone, besmear'd with sluttish time.
掃除されていない、怠惰な時によって汚された(墓)石の上でよりも。
When wasteful war shall statues overturn,
様々なものを荒廃させる戦争が彫像をひっくり返す時も、
And broils root out the work of masonry,
石工の作品を根こそぎ燃やしてしまう時も、
Nor Mars his sword, nor war's quick fire shall burn
軍神マルスと彼の剣や戦火さえも燃やし尽くすことはない、
The living record of your memory.
あなたの思い出の生きた記憶を。
'Gainst death, and all-oblivious enmity
死に対して、そして全てを忘却させる敵意に対して、
Shall you pace forth; your praise shall still find room
あなたは歩を進めるだろう。あなたへの称賛は尽きることがないだろう、
Even in the eyes of all posterity
That wear this world out to the ending doom.
この世界を摩耗させ最後の日へ導く
後世の人々の眼にもとまるだろう。
So, till the judgment that yourself arise,
だから、あなた自身が復活する(最後の)審判の日まで、
You live in this, and dwell in lovers' eyes.
あなたはこの詩の中に生き、愛する人々の目の中で生きるだろう。

 この詩には二つの解釈があります。一つは、シェイクスピアが特定の女性に捧げた歌であること。もうひとつは、「言葉」自体への賛歌であること。
 女性である場合は、その女性を詩に歌うことで、最後の審判で彼女が復活するまでは、彼女が死んでも詩の中で生き続けることができ、永遠に明るく輝くことができる、という意味だととれます。その場合、最後のdwell in lover's eyesは、文字通り「恋人たちの目」という意味になります。
 反対に「言葉」への称賛である場合は、全ては言葉に捧げられた詩であるように思えます。
そして、lover's eyesは、「言葉を」愛する人々、という訳になります。
 ただ、そうするとなぜ「最後の審判」の日に(生きている女性と違い)死ぬことのない「言葉」が復活し得るのか、という問題が出てきます。最後の審判の前に起きると予言されている混乱状態において、まともな美しい言葉が残っていようはずもない、とシェイクスピアが考えていた可能性も無きにしも非ず、ですけれど。

 ちなみに、「ロミオとジュリエット」を最初に読んだときの私の感想は、「そうか、中3の少年が小6の少女に手を出したのか」でした。そしてあの名台詞"O Romeo Romeo wherefore art thou Romeo?"は今でも脳内に焼き付いています。

もうひとつ。A Tree Grows in Brooklyn読み始めました。そして都会のトム&ソーヤ7を読了しました!めっちゃ楽しかった!「面白い」って言える本はよくあるけれど、「楽しい」って言える本は、そうないと思います。というか、ゲーム会社さん、まちとむのゲーム作って欲しい!でもRRPGは遠慮しときたいなぁ(特に栗井栄太作の方は!)

29.11.09

※LINXにhiraさんの「路地裏の空」を加えさせていただきました!hiraさん、ありがとうございます!


 今まで英語の授業などで勉強してきた詩について。結構、考えさせられて面白いものが多いと思うので、それらの中で特に印象に残ったもの、好きだったものについて語りたいと思います。
 私のポエムチョイスは非常に偏っていると思われます。が、自分の思考を整理するためにも、とりあえず自分チョイスの整理をしておきたいのです。(ほとんどは著作権が切れているので、掲載しても問題ないものは全文掲載します)

まず、

John DonneのThe Flea。「蚤」というタイトルの詩です。きっと、この詩を知ってる方がいらっしゃったら、「ええ、こんなんからリスト始めるのかよ!?」と思うでしょう。でも私は、この詩のウィットが結構好きなんです。最初に読んだとき、「あ、今上手いこと言った!」(笑)と思いました。もしこの人が好きだったら、うっかり丸めこまれそうだなぁ(そして後の祭りになりそうだなあ)と思います。
 自分なりの訳も付けてみました。よろしければご覧ください。

THE FLEA.(1633)
by John Donne

MARK but this flea, and mark in this,
この蚤を見てごらんなさい、そしてこの蚤に見なさい、
How little that which thou deniest me is ;
そなたが私に拒んでいることのちっぽけさを、
It suck'd me first, and now sucks thee,
その蚤は私の血を吸い、今そなたのを吸っている、
And in this flea our two bloods mingled be.
そしてこの蚤の中で私たちの血は混ざり合っている。
Thou know'st that this cannot be said
A sin, nor shame, nor loss of maidenhead ;
そなたもこれが罪や恥ずべきこと、あるいは処女喪失だとすら言えないことは分かっているだろう?

Yet this enjoys before it woo,
  それなのに、この蚤は求婚前に愉しみ、
And pamper'd swells with one blood made of two ;
  二つの血で作られた一つの血で膨れ上がって満足している、
And this, alas ! is more than we would do.
  そして、ああ! それは私たちが行うであろうこと以上のものなのだ。 

O stay, three lives in one flea spare,
ああ、待って、この一匹の蚤の中の三つの命を助けてやってくれ、
Where we almost, yea, more than married are.
そこでは私たちはほとんど結婚したも同然、いや、結婚した以上のものになっているのだから。
This flea is you and I, and this
この蚤はそなたと私、そしてこれは
Our marriage bed, and marriage temple is.
私たちの婚礼の床、そして婚礼の神殿なのだから。
Though parents grudge, and you, we're met,
親たちが嫌がり、そなたが渋っても、私たちは出逢っているのだ、
And cloister'd in these living walls of jet.
そしてこの生きた黒玉の壁の中に落ち着いているのだ。

Though use make you apt to kill me,
  そなたは私を習慣で殺そうとするが、
Let not to that self-murder added be,
  その罪に自殺が加わってはいけない、
And sacrilege, three sins in killing three.
  そして聖なるものを冒涜し、三つの魂を殺して三つの罪を犯してはいけない。

Cruel and sudden, hast thou since
残酷で唐突に、そなたは
Purpled thy nail in blood of innocence?
爪を無実の血で紫に染めてしまったのか?
Wherein could this flea guilty be,
この蚤がどんな罪を犯したと言うのだ、
Except in that drop which it suck'd from thee?
そなたから吸った一滴の血以外?
Yet thou triumph'st, and say'st that thou
だがそなたは勝ち誇り、そして言うのだ、そなたが
Find'st not thyself nor me the weaker now.
そなた自身も、私も、力を失ってなどいないのが分かる、と。
'Tis true ; then learn how false fears be ;
それもそうだ。なら恐れというものがどれほどまやかしであり得るかを知りなさい、
Just so much honour, when thou yield'st to me,
Will waste, as this flea's death took life from thee.
そなたが私にその身を許す時には、それほどの名誉しか
損なわれないのだ、この蚤が盗ったそなたの命ほどしか。

 彼の巧妙さ、私のつたない訳で伝わったでしょうか。というより、何の詩かお分かりになったでしょうか?短くまとめると、女性を口説こうとしている男による詩です。
最初にこの詩を勉強したのは、確か中3だったと思います。先生が朗読した瞬間、男女揃ってるクラスが一斉にしいんとしたのは覚えています(笑)。皆脳内で「え、これでディスカッションとか(男女混合で)するんだ?」と考えていたことでしょう。そのおかげでインパクト絶大、今でも覚えているという訳です。