9.4.11

Yes sir, yes sir...


こんな本を見つけて、読んでしまいました。

タイトルは、マザーグースより。
Baa, baa, black sheep,
Have you any wool?
Yes sir, yes sir,
Three bags full.
One for the master,
One for the dame,
And one for the little boy
Who lives down the lane.

羊飼いを殺された羊の群れが殺人犯を暴くために奔走する、コメディタッチのミステリーです。

登場羊の名前は色々想起させられるものばかり。
例えば、事件の探偵担当のMiss Maple。アガサ・クリスティのMiss Marpleを匂わせる名前で、実際の役どころもそのような感じ。
そして黒い雄羊、Othello。これには吹きました。読んだ方はわかるでしょうが、シェイクスピアのオセロは劇中で、敵役から「黒い雄羊」と言われているのです。さらに、この羊のオセロが送ってきた人生は、動物園とサーカスでの奴隷生活を含む、とっても数奇なもの。異国からやってきて、一度は奴隷となった経験もあるシェイクスピアのオセロの見事なパロディです。
物語の鍵を握る羊は、Melmoth。こちらはゴシック小説のMelmoth the Wandererが元ネタ。

と、こんな調子です。

さらに、何でも羊視点なおかげで、人間なら気付かないことに気付いたり、人間なら気付くことに気付かなかったりというのが面白いのです。物語のタイプは全く違いますが、何となく、斎藤洋さんの『白狐魔記』シリーズを想起させられます。
ただし、謎ときありきのミステリーとしては、ちょっと解明部分が物足りない気も。

この本、元々はドイツ語で書かれたものですが、邦訳も出ております。既に絶版となってしまったようですが…。『ひつじ探偵団』という本です。

ドイツ語の原作では2作目も出ているようなので、英訳が出たらまた読んでみようと思います。

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