17.5.12

永遠の女王




読みました。うううん、途中まで、というか最後の1ページまではものすごく面白かっただけに、結末が残念に感じる作品でした。いやでも最後まではものすごく面白かったんですよ…ただ読み終わったはずなのに途中で途切れてる感じがするだけで…!



以下、主に史実に関する話で、物語の核心部分には触れていません。が、エンディング部分についてだけは少し書きたいので最後に離して置いておきます。

12.5.12

ハドリアヌスの城壁巡りツアー(13日改)

タイトル通りのツアーに行ってきました。壁(と羊)しか見ない旅!
ローマ史の試験4日前に行くのってどうよ、と思ったのですが、もうこれを逃したら機会はないと思い、えいやっと参加しました。そしたら、私が受けているローマ史の授業の教授がガイドさんでした。赤毛+ふっさり髭+低身長の(ドワーフっぽい)方なのですが、この人のトークがまた美味い上手い。口癖はAt the end of the day(=結局)。教授のおかげで、楽しい一日を送ることができました。
学んだことを色々語りたいのですが、そこまで余裕がないので写真の下に簡単な説明だけ付けておきます。

13/5
重要なことを言い忘れてたので。サトクリフの『第九軍団のワシ』の舞台ですここ!しかも、エスカの一族、ブリガンティス(Brigantes)の話も出てきました。途中から、石壁ではなく初期には土壁であった跡があるらしいのですが、これはおそらくローマ人がブリガンティスの伝統的な領土を横断する形で壁をつくっていったので、彼らに建設を邪魔されないよう早く建設できる土壁を最初に建てたのだろうということでした。
もっとも、当時のローマの建造物は土壁のものが多く、むしろ何故石で壁を造ったのか、ということに注目する必要があるのかもしれない、とも教授は仰ってましたが。


ここから歩き始め。何故か日本語が。

Milecastleという建物。1マイルごとに建てられたのだとか

真ん中を走ってる何の変哲も無さそうな塀がハドリアヌスの城壁です。こちら側がローマ
どんどん続いています。ちなみに右側が野蛮人側、左側が文明人側になります

橋の遺跡らしいです

Irthing川。いい天気でした

木の柱は、城砦の跡に建てられたアングロ・サクソン時代(5,6世紀)の建物を表しています

Praetorium。床暖房付きです

おトイレ

遺跡を楽しむ子羊たち

好奇心旺盛!母親たちのようには逃げません

痒い!と首をこすっていました

昔は森におおわれていたかと思うと、感慨深い風景です


自分用メモ:
・城壁は昔、白く塗られていたという。野蛮人を圧倒するためと、教授の考えでは兵士を手持無沙汰にさせないためだった。
・ローマ兵は城壁の上からは闘わなかった。遠距離用の武器を持たなかたったこと、ところどころ城壁が安定して戦うには狭すぎることなどから推測。見張りをおき、トラブル発生時にはそれをローマ領土内に持ち込まないよう、壁の外へ兵を出して戦ったのだろうとこのこと。
・壁がつくられた当時、ここらへんに駐屯していた部隊はアルメニア人。
・ハドリアヌスの時代には、軍は壁の内側の丘の向こうに駐屯していた。非効率的なので彼の死後壁の側に移動。
・最初はMilecastle毎に3本の柱で支えられた大きな門を造っていたが、後に防衛に不利と気付いたのか、向こう側からの攻撃が激しくなったのか、半分が石で塞がれたものが多い。

27.4.12

十字架と鎚と。

漫画『ヴィンランド・サガ』の感想というかなんというか。漫画の内容については11巻時点までのネタバレですが、登場人物にまつわる史実についても盛大にネタバレしていますのでご注意ください。
























ヴァイキングとブリテン島の歴史を少し齧って改めて思うのは、作者の物語の紡ぎ方の上手いこと!

例えば「序章」部分で故郷のウェールズと未来の王を守るためにドラマチックな死を遂げるアシェラッドですが、実は、この後イングランドとスコットランドの大半を手に入れることになるクヌートが生涯支配することが無いのが、ウェールズなのです。ちなみにアシェラッドが子孫を自認するアーサー王ですが、現在はアングロ・サクソン侵攻の際に最後に各部族をまとめ対抗し、一時的にではあれ彼らを撃退することに成功した軍人であると言われています。作者はこの話を踏まえて、アシェラッドの動機、クヌートの行動に編み込んでいます。

さらに面白いことに、アングロ・サクソン人がヴァイキングと戦い壊滅したことを物語る『モールドンの戦い』という古英語詩が現存しているのですが、アシェラッドとトルケルという登場人物がこの戦いに参加していたことになっているのです。この戦い自体が直接トルフィンの物語に関与することはないものの、この古英語詩でレポートを書いた自分としてはにやりとするしかない設定です。

クヌートが信仰心に満ちた、というか教会を支援する権力者であったのもまた事実です。ウィンチェスターのハイド修道院に奉納されたLiber Vitaeという写本には、クヌートとその王妃エマが金の十字架を修道院に納める場面が描かれています。この絵では、クヌートは十字架に自ら触れて(というよりわしづかみにして)いて、それは本来はいずれのイギリスの王家の血も引かないクヌートが神より支配権を授かっていることを示すものと解釈されるのですが、幸村版クヌートの持っている、神への反逆心を表しているようにもとれますね。ちなみに王妃が描かれているのも珍しいのですが、こちらは亡きノーサンブリア王エセルレッドの第二王妃だった人で、つまり神からと同時に彼女との婚姻関係を通しても正当な王権を受け継いでいると強調するのが目的だったようです。ヴィンランド・サガに彼女も出てくると面白いのですが…それをやるとトルフィンの物語じゃなくなってしまいますよね。でもちらっとくらい出てくるといいな、と思っています。クヌートの死後も活躍しまくりの女性ですから、きっとどこかで登場すると思うのですが…。


さて、単行本11巻の展開について。


ヴィンランドへ行きつくまでも無く、既にトルフィンのその決意を揺らがすような方向に物語が向かっているのも気になります。主人を殺して逃亡した奴隷、ケティル農場を没収すべく迫るクヌート王の軍勢。トルフィンの自由をケティルが宣言する前に何かが起きるのは必須でしょう。非暴力と暴力の立場が昔とはまるで逆になってしまったトルフィンとクヌート。個人で出会うことがたとえなくとも、クヌートの軍勢と対面することになるトルフィンはどうするのか、何が彼に出来るのか。クヌートの軍にフローキの手下が混じってるのも気になりますね。父の本当の敵は彼だと思うのですが、彼の参加は話の展開にどう影響するのでしょうか。
それにしても、歴史上の人物に加えて魅力的なオリジナルの登場人物を盛り込んであるせいで、歴史ものにありがちなスリルのなさが綺麗に解消されてますね。今舞台に出そろってる主要人物の中で命の危険を危惧しなくて良いのは、主人公のトルフィンとレイフ、クヌートくらいでしょう…。特にエイナルが危なっかしくてはらはらします。


11巻時点の事件が全て曲がりなりにも解決するとして、今度気になってくるのはトルフィンの暴力決別宣言が何処へ向かうのか、というところ。立派な決意だけれど、ヴィンランドでの開拓が最後暴力に終わるのは既にわかっていること。主人公が自分の誓いを破る形でアイスランドへ帰り、余生を送る…ってどうなの、と思うのです。原作のサガでトルフィンは結局、スクレーリング(原住民)との争いが起きたために開拓を諦めざるを得ないのは事実。「ここではないどこか」であるヴィンランドへの幻想が砕けることで、アイスランドを自分の暮らす場所として認める、ということになるんでしょうか。今読んでいるヴァイキングの歴史を辿ったThe Hammer and the Crossで、ヴァイキングたちが唯一暴力に依らずに得た土地がアイスランドである、と述べられていたのが印象に残ります。

3.4.12

北ウェールズ再び(修正版5/4)

北ウェールズで3泊してきました。今度はコンウィというとても古い町です。
エドワード1世が13世紀末、ウェールズ支配を補強するために造った城と町を囲む城壁があり、現在もかなりの部分が残っています。
遺跡と町と、周囲の海と丘を楽しむ旅でした。

(写真は、クリックすれば元のサイズで見ることができるようなので、小さめにしておきます)

注:4日間を一つの記事にまとめてしまったので、恐ろしく長いです。畳んでおきます。

追記:写真がめちゃくちゃになってるのに気付いたので修正しました。