3.8.10

煮えたぎるようですね

最近の暑さは、「暑いですね」なんて言葉じゃ到底表せないと思うんです。


試験も昨日、最後のが終わり、残るはあとレポート一本となりました。そのレポートが、でかいんですけどね…。


といいつつも、「屍鬼」を読んだり、「Lord of the Rings」を読みはじめたりしています。

注:ネタばれます。
小野 不由美
新潮社
発売日:2002-01



出会って以来、毎年夏になると読みたくなる「屍鬼」。
実は、「ホラー」と分類される本は、あまり読んだことがありません。これと「魔性の子」と、ポーの作品数点(それも授業で読まされたもの)とクラシックなゴシック・ホラー数点(ホラーだけどベタすぎて怖くない(笑)。

「屍鬼」は、作者が「十二国記」シリーズの小野不由美さんだったからこそ、手に取ったもの。ホラーだけど、小野さんだし、頑張ってみるか!と思って読みました。

 そしたら、怖いわ怖いわ…途中まで読んで、もう既に夜中だったんですが、本を置いたら背後からあれが襲って来そうで、読みやめることができず…徹夜して読み切ったのを覚えています。

 しかしこの作品の面白いところは、襲い来る脅威、というよりは善悪の描き方だと思います。
途中、屍鬼たちの存在に気付き、反撃を開始する村人たち。でも、そんな彼らが攻撃しようとする屍鬼だって、元々は殺された村人、被害者なのです。望んだわけではないのに吸血鬼的な存在にされ、人の血を飲まないと飢えて死んでしまう体になった屍鬼が殺人を行うことは、悪と言い切れるのか。そして、屍鬼に襲われた人間の迎える静かな死に対して、杭を胸に打ち込むという、残酷極まりない屍鬼退治。さらに暴徒と化した村人は、無関係の同胞をも殺害してしまう。
 物語の中盤まで、村人=被害者、屍鬼=加害者、という図式を造り上げておいて、後半にそれを一気にひっくり返す。それまであった価値観が瓦解する瞬間が、たまらないのです。

0 件のコメント: