28.1.12

SHERLOCKED

最近、たまたまBBCで放映しているのを見かけて観たら一気にはまったドラマ、「シャーロック」。面白い!
ガイ・リッチーのホームズ映画に続き、またか!と思いながら観たこのドラマも、やはり「シャーロック・ホームズ」そのものというよりは、ファンが創ったパロディのような雰囲気。コナン・ドイルの原作が好きで好きで二次創作しちゃいました、という感じ。それだけに、原作関連の小ネタが満載で楽しいこと楽しいこと。私は原作を一通り軽く読んだことがある程度の人間なので、きっと見逃してるネタもたくさんあることだと思いますが、それでも相当数は目につきます。

この「シャーロック」は、コナン・ドイル作の『シャーロック・ホームズ』シリーズが存在しない現代に生きる「コンサルタント探偵」のシャーロック・ホームズと、アフガニスタン(!)退役軍医のジョン・ワトソンが謎を解いていく、という話。現代の話なのに19世紀の原作通りアフガニスタン帰りにできちゃうところに、ちょっとうすら寒いものを感じますが…。
二人は第一話で原作通り共通の知人に紹介されて出会い、ベーカー街でフラットシェアをすることになります(この「フラットシェア」という言い方もいかにも現代で個人的にツボ)。ハドソン夫人が大家さん。「ミスター・ホームズ」「シャーロックと呼んでくれ」と現代な会話をして現代風に名前で呼び合う関係になったジョンとシャーロックは、早速最初の事件の解明に飛び出していきます。

ところで、ジョンは退役後、PTSDに悩まされており、松葉杖をついています。でも、実は実際に撃たれたのは肩で、足を引きずっているのは精神疾患が原因。ワトソンを悩ませているのは、精神科医が考えているような戦場での恐怖ではなく…「君は戦場の記憶に苦しめられているんじゃない。あのスリルが恋しいんだ」とシャーロッが見抜いたように、一般市民に戻りたくない、という思いが原因だったようです。実際、シャーロックに協力して事件に関わっていく内に、足の不自由な状態は解消されます。そして、そのPTSDの治療の一環として医師から勧められているのが、日常を綴ったブログの執筆。最初は「書くことなんて何もない」と拒否するジョンですが、シャーロックに出会った後は彼との冒険を綴るようになり、やがて人気ブロガーに…!つまりこれが、ワトソンの事件簿に相当しているのです。ちなみにシャーロックも個人のホームページ「推察の科学」を持っていますが、小難しすぎて一般受けしていないようです。(BBCによって実際に二人のブログとホームページが作成されているのです!リンクをクリックすれば飛べるようにしてあります※ワトソンのブログの方はネタバレ注意。事件簿なので当然種明かしが…)

ホームページを開設していたり、ブログを書いていたりといかにも現代っ子なシャーロックとジョンですから、推理にも当然、最新機器を使いこなしてきます。電報の代わりにテクストメールを使ったり、GPSシステムを駆使したり。様々な情報機器のある現代は、なるべく部屋を出たくないシャーロックにとって恰好の時代で、ジョンを使い走って現地からライブチャットさせたり、メールで呼びだしたりと便利に利用しています。そして敵方も、負けないくらい現代的に攻めてくるのです。

こういった設定もさることながら、ひときわ光っているのが俳優たちの演技。シャーロックを演じるベネディクト・カンバーバッチ、ジョンを演じるマーティン・フリーマン、そしてモリアーティを演じる、アンドリュー・スコット。彼らがもう本当に、素敵で素敵で。特にスコットの演じるモリアーティの狂気っぷりがすごい。観ていて背筋がぞくぞくするほどの演技です。

1シーズンたったの3話ですが、各話90分という満足の長さなので、一本一本に映画のような見ごたえがあります。今のところ出ているのはシーズン2までですが、来年シーズン3も放映されるとのこと。楽しみに待っています。





ネタバレ注意!!の追記
シーズン2の第3話まで観た上での感想です



ワトソンのブログ、シーズン2の最終話に合わせて更新されてるんですが、このシャーロックの死の埋め込みニュース動画が秀逸。BBCだからこそ可能なクオリティというか、本当にニュース見てるような気分になります。それだけに悲しくもなりますが…。そしてその一件前の記事の動画もまた寒気が…!モリアーティが怖すぎる。
ところで、モリアーティって本当に死んだんでしょうか。もちろん原作ではあれで死んでるんですが、残党はいますしね。まず、頭を撃っていてもシャーロックがその死を確認するシーンも無く、傷口も見えないので死んでいるかどうか定かではなく、そもそもあれが本物のモリアーティかどうかも微妙な気さえします。真実の中にひとつ嘘を混ぜると信じやすい、というあのプロットの通り、実は今まで見てきたモリアーティは役者が演じていたんじゃなかろうか、本当のモリアーティはどこかで高みの見物をしてるんじゃないか、とか…。そもそも「教授」だという設定がこれほど完全にスルーされてるのも不自然な気が。これは多分、シーズン3ではっきりするのでしょうね。
そして、高いところから落ちる=生存が定番のようになってしまった気もするシャーロック・ホームズ。彼はもちろん生きてる訳ですが、その種明かしがされるのもシーズン3。脚本家によると「シャーロックは3話で不自然な行動をとっている。それがカギだ」とのことなのですが、一体どこが不自然なのか。テクストメールではなく電話でジョンと連絡をとったのが普通ではない?色々気になりますが、もやもやしつつ来年まで待とうと思います。

0 件のコメント: