23.3.12

Hunger Games

Suzanne Collins
Scholastic Press
発売日:2010-07-03

 全巻読みました。思ってたより面白かったです。
解がちょっとシンプルかな…?と思いつつも、問いかけてくることはけっこう複雑。
エンターテインメント風のバトル・ロワイヤルを効果的に演出しつつも、殺し合うこと、憎み合うこと、の意味を考えさせられます。

くじ引きで男女24名が選ばれてサバイバルゲーム、という粗筋を読んで、バトルを正当化させるための設定か、と思っていたのですが、もちろんそれもあるのでしょうけれどそれだけじゃない気がしました。生き残るための闘いや心の葛藤を見せつけられながらも、背後にありつづける、そのむちゃくちゃなゲームを強制する力のある、大きな権威の存在を感じさせられます。

1巻の話は基本的にサバイバルゲームに徹し、主人公のキャットニスはこんな残酷なゲームを強制してくる権威に対する疑問はさっぱり抱かない。自分の置かれた世界に疑問を持つことなく、自分の命のために戦う。そして、あくまでも自分の生きる社会の枠組み内でしたたかに生き残る手段を考えていきます。2巻、3巻は彼女と周りの人々の、その権威に対する闘いとなってくるのですが、反抗勢力が完全に白と言えないところにまたはらはらさせられます。

こんな超設定でも共感できてしまうのは、おそらく、ところどころにちりばめられた、主人公たちの悩みや心の動きの描写のせいなのでしょう。信用していいのかまずいのか、あの人は私をどう思っているのか。状況は違えど、皆が日常的に考えることを、主人公たちも考え、感じ、悩んでいるように思います。

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