5.6.09

ナユグの中心にあいをさけぶ(古)

 "Moribito:Guardian of the Darkness"(闇の守り人英訳版)と「マンタリテ」の感想(考察?)を叫びに浮上してまいりました。←それにしてもこの二冊、全くジャンルが違いますね。どうやって両方好きでいられるのか自分にも謎ですが...とにかく好きなんです。

 長くなったので、追記に入れます。「闇の守り人英訳版」の感想を読みたい方はread moreからどうぞ。注:物語の感想ではなく、訳の感想がメインです。自分の翻訳能力を棚上げして、厳しくツッコミを入れることがありますが、中傷ではありません。自分だったらどうしたいのか、という素人としての考えです。


 まずパラパラっとめくってみて、精霊の守り人と比べたときの、表紙のカバー(ハードカバーを買っています)の質の違いに注目。なんか…ちょっと安っちくなっ(強制終了。精霊のカバーは「Moribito...」のタイトルが盛り上がるような加工がされてたんですが、闇の方はそれがありません。紙質は、精霊の方よりもざらざらな感じでした。

 更にパラパラーとめくり、最後の方へ(ヲイ)。用語辞典を目当てに突き進み、氏族相関図っぽいものを発見。へぇ、親切になったじゃないか…って、この乏しい情報を乗っけるために2ページも使ってる!?ヨンサなんて、ユーカとカルナとバルサの三人しか載ってない(笑
 でも、その2ページのデザインはとってもカッコいい!日本語版の方の二木さんのデザインを踏襲する感じになっていて、私は好きです。

 とうとう用語辞典へ。どうやって訳してるか、わくわくです。
 ざっと見た感じ、ヨゴ語よりもLの使用頻度が高いような気がします。例えば、精霊の方ではラルンガはRarunga、ニュンガ・ロ・イムはNyunga Ro Im、シルヤがSiruyaと、基本的にローマ字表記を使っていました。今回は、緑白石がLyokuhaku、コルカがKoluka、ラカールがLakalleと、RよりもLを使いがちです。
 緑白石と白磨石が、日本語そのままで使われているのは少し意外でしたが、考えてみれば、英語に訳すとなるとやたら小学生じみたネーミングになってしまいそうです。直訳ですが、たとえば、Greenwhite stoneやWhite polished stone。これはマズイ、ということでヒラノさんは日本語にすることにしたのでしょうね。この二つの言葉が、日本語なのに完全にカンバル語っぽく見えてしまうのが欠点ですけれど。

 …あれ?白磨石と緑白石って、何語なんでしょう?バルサやカッサ、ジナが使っているからカンバル語っぽいけれど、漢字表記だし、そういえば「蒼路の旅人」でチャグムも「白磨石」って言ってましたね。ってことは、語り手(narrator)が聞き手(読者)に伝えるときに、カンバル語やヨゴ語の単語から変換しているということでしょうか?だって、どう見ても日本語ですもん。それにしても、実際に白磨や緑白って言葉が存在...してた!!「白磨」ははっきりと存在していました。「緑白」の方は、「白緑石」ってものはあるようです。

 寄り道してすみませんでした。
 それにしても、ラカールの訳はいいですよね!Lakalle。ヨゴ語とカンバル語の違いがはっきり表れているように思います。何せまだまだ例が少ないのではっきりしたことは言えないのですが、多分、ヒラノさんはヨゴ語とカンバル語の発音に違いを持たせようとしてらっしゃるのだと思います。ヨゴ語の日本語的発音に対して、国籍不明(?)のアジア的発音。以前、精霊の英訳本感想を書いたときに、「ローマ字表記っぽすぎる」というコメントを付けたような気がしますが、ひとまず前言を撤回しておきます。全巻の英訳が出揃うまでは、確定できませんが…。

 さて、いよいよ本文へ。といいつつも、本文の訳については個人的な趣味や思い入れが入りすぎるのでほぼノーコメントで通します。
 全体の印象としては、偉そうな言い方ですが、精霊の方よりも訳が上手いような気がします。読んでて、つっかかりがないというか、自然な感じがするというか。日本語版と同じように、すっと物語に入っていけました。洞窟の表現や、戦闘シーンもすごく良かった!あえて言うなら、ご飯の表現が少しくどいような気がすること。「美味い」の基準が日本人仕様だから仕方がないのかもしれないけれど、もう少し読みやすい方がいいような(代わりになる表現も思いつきませんが!)。

 これにて感想終了です。
「守り人」英訳本もこれで二冊目。三冊目も、四冊目も、五冊目も…最終巻まで、出して欲しいものです。是非とも(バ)ラウル王子をイングリッシュで…!
 関係ないですが十二国記の方も頑張ってほしいです。ついでに「獣の奏者」の英訳本も!
 獣の奏者については、ドイツ語版購入を真剣に検討中。ドイツ語を副専攻語にしたことだし、この本なら気合いで読めるかなーと。

0 件のコメント: