4.3.09

獣の奏者の英訳を考えてみた(前半)

 「獣の奏者」を英訳するとしたら、どうなるのでしょうか?
英語版wikiでは、タイトルは"Player of Beasts"とあります。
 でもこれは直訳で、原語の「獣の奏者」とは意味が大分違ってしまうように思います。
 その他「獣の奏者」の英訳版について、考えてみたことを書いてみました。長くなったので、追記に放り込みます。…タイトルについての結論はまだ出せていないのですが、ずいぶん前に書いた記事なのでうpしてしまおうと思いました。もう少し考えてから、後半を書きたいと思ってます。

 奏者、という言葉を訳すると、"Player"という言葉に辿り着きます。「獣」に対応する言葉は、"beast"。だから、"Player of Beasts"
 でもなんとなくしっくりこない気がするので、とりあえずその理由を考えてみます。

 まず、"player"と言う言葉の「演奏者」以外の意味を見てみます。和英辞典だと、対応する日本語しか書いてないので、英英辞典を引きます。
1.a person taking part in a sport or a game.
2. a person that is involved and influential in an activity.
3. an actor.
(The Concise Oxford Dictionary Tenth Edditionより)
一応日本語に訳します。
1.スポーツやゲームに参加する人
2.ある活動に関与し、影響を与える人
3.俳優

 これらの意味を見ていくと、私には、このplayerと言う言葉は「操る」という意味が強すぎるような気がします。上橋先生がこのタイトルを付ける上で、「操者」ではなく「奏者」にしたことには意味があると思うからです。作中に、「操者の技」という言葉を出しているにもかかわらず、作品のタイトルは「奏」でる者にしている。ということは、「操る」という言葉では表せないものを表現したかったのだと解釈することができます。(私には、―竪琴を奏でることによって王獣と「会話」し、それによって獣を操る者―という意味だと勝手に解釈しています。「操」の意味もこのタイトルの「奏」には含まれているのだと思っています。掛詞的に。)

 では、"Player"以外に、もっとしっくり当てはまる言葉はあるのかというと、なかなか思いつきません。ぶっちゃけ無いんじゃないか…とも…思いますが…ここでめげていてはいけない!というより、この結論じゃ中学生レベルの英語力でも辿り着けますよね。ああ、エリンの発想力が欲しい…。

 …でもやっぱり思いつかないので、他の「獣の奏者」独特の単語の英訳をやってみようと思います。

霧の民
1.people of the mist←霧の人びと
2.children of the mist←霧の民。でもこの場合、彼らが「霧の民」を自称しているような意味合いになってしまう。ヨーロッパの物語などでは自分たちのことを「~の子どもたち」と名乗る場合が多い。"Children of Odin"など。
3.nomads of the mist←思いっきり意訳。「霧の放浪民」。
 個人的には、3.が好きです。無難に行くなら1.だろうけれど、意味や霧の民の社会的な地位や暮らしを考えると、「放浪民」と訳してもいいような気がします。

王獣」。いくつか候補を…って、これもどうやったって中学生レベルの英語ですが…。
1.king beast←直訳で。ストレートに「王の獣」
2. king's beast←少しだけいじりました。「王の」獣。日本語の「の」って、色んな意味を含んでますが、この場合は、「王のものである(或は王となんらかの関係を持つ)」獣、の意味で。
3.ouju←そのまま。説明をちょろっと付け加える。でもこういうことをすると、上橋語と日本語の区別がつかなくなってやっかいそうです。
 さあ、どれがいいでしょう?
…結局、king beastという直訳が一番いいような気が。ちょっと不自然な感じがするんですが、king's beastというのも意味的に正確じゃないし、oujuってのも微妙。結局考えた末に直訳が一番ってのもどうなのかと思いますが、私が思いつく中ではこれしかない。私の知能レベルを超えた訳者さんが訳してくださることを祈ります。

次、「闘蛇」。引き続きめげずに候補を考えてみます。
1.fighting serpent←戦う蛇、の意味で直訳。
2.fighter serpent←戦う蛇=日本語では1.と同じになってしまいますが、戦いを専門とする蛇、みたいな意味です。こういう名前の動物って、英語ではたまにいるんですよ。"er"を付けると「~する人」(singerとか)って意味になるので、king fisher=カワセミ、など。
3.touda←見ての通り、そのまま。
 さぁて、どれがベストでしょう?
私は、今回は2.だと思います。動物の名前っぽい、というのが一番の理由です。それに、1.にしてしまうと、ただの戦っている蛇(現在形で)という風にも解釈できてしまうので、紛らわしい。3.は、上で挙げたのと同じ理由からダメだと思います。

 では、次。
闘蛇衆
うわ、これ超難しい…。どうしよう(え)。とりあえず、思いつく限りの候補を。
1.people of the fighter serpents←普通に訳してみます。「闘蛇の人びと」。
2.fighter serpent raisers←意訳。闘蛇を育てる人。
…こ、これくらいが限界です(息切れ)。

 ここまで読んでくださった方、お付き合いくださってどうもありがとうございました!ぐだぐだに終ってしまってすみません!近いうちに必ず「獣の奏者」タイトルについての後編を書きます。

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